カイロプラクティックは世界中１００か国以上で実践され、４０余の国で法制化されているWHO認証のヘルスケアで、体内のあらゆる働きをコントロールしている神経機能、身体力学などの科学的根拠に基づいた徒手療法であり、「薬物等に依存せず人間の健康にいかに関与できるか」ということを大学教育で学び、研究する学問体系でもあります。

　背骨を構成している一つ一つの椎骨や関節、靭帯や軟部組織などの身体パーツの働きや可動性が失われると、中枢や末梢及び自律神経等の神経機能が正常に働かず混乱を生じます。結果、痛みや筋力・総合的な運動機能の低下、内分泌異常などの障害をもたらす可能性があります。

　カイロプラクティックは主にアジャストメントという、極めて速いスピードでふり幅のごく小さい徒手操作により、神経機能を正常な状態にリセットして、身体を快適な状態に回復させることを目的としています。

　私は施術に際して、「矯正する」や「歪んでいる、ズレている」などの言葉を使うことはありません。なぜなら脊柱の関節は場所にもよりますが、１セグメントで数ミリしか動きません。それを歪みやズレと表現できるものでしょうか？背中や腰でもおのおの動き方も違いますし、当然個人でも左右の身体の違いや、動物ですから個体差もあるわけです。それは他人と比べるべきものではありません。　

　生命は寄せては返す波のように常に揺れ、変動して環境に適応しようとしています。身体の状態はこれが反映されているともいえます。よく「脚の長さが違っていれば骨盤がズレている」といいます。たしかにそうかもしれませんが、カイロプラクターは全身の神経反射の一つの指標として脚の長さを評価します。軽く身体に触れるだけでも、それこそ眼球を動かしても瞬間的に脚の長さは変わります。言うなれば脚の見た目の長さは毎日違うのです。人間の身体の筋緊張だけでなく、身体内部の環境ですらいろいろな刺激に即座に対応するように常に変化するのです。

　我々カイロプラクターは「トーン」という言葉を使いますが、なかなか日本語では表現が難しく曖昧にしかできません。しいて言えば人間の「波動」「生命の波」といったところでしょうか。人間の細胞活動には電位が生じていますので、それが生命活動の波動・周波数というものでしょう。電気的に心電図や筋電図が測定可能なのはそういった理論からです。

　ただし、何らかの障害があれば波の形が悪いほうへ変化し、それが神経のネットワークを通じて全身に広がっていき、生命活動に影響を及ぼします。長い時間が経過してしまえば、画像診断や血液の検査、その他理学的な検査では判断がつきかねる不可解で慢性的な身体の症状を作り上げてしまったり、病気に移行してしまう可能性もあります。我々はそれを神経筋の反射やきわめて軽い身体への触診、可動検査などにより見出して施術します。皆様方の身体の波に寄り添うような施術は心地いいものであり、決してかき乱すようなものであってはならないと考えています。

　良い波の形をつくるには定期的な身体のメンテナンスを受けることはとても役に立ちますが、同時にほどほどなバランスのとれた栄養、睡眠、休養、ストレスケア、運動を考慮する必要があります。あくまで不調から立ち直るのはご自分の身体の治癒力であることを忘れないでください。

自らを癒すのは自分の内にある力であるということを。